同じ「マウスピース矯正」でも、提示される費用はクリニックによって大きく違います。なぜここまで開くのか。金額の一覧を眺めるだけでは、自分がどのあたりに当てはまるのか判断できません。
値段の幅には理由があります。何によって金額が決まるのかを押さえれば、見積もりを受け取ったときに内容を読み取れるようになります。どこを見て、何を聞けばいいのかまで整理します。
マウスピース矯正の値段は何で決まる?
動かす歯の範囲
値段を大きく左右するのは、何本の歯を動かすかです。前歯を中心とした限られた範囲を動かす場合と、奥歯を含めた歯列全体を動かす場合とでは、治療の設計そのものが変わります。
奥歯を含む治療は、噛み合わせ全体のバランスを取りながら歯を動かすため、計画も装置も複雑になります。動かす本数が増えれば、それだけ費用も上がります。
マウスピースの枚数
マウスピース矯正は、少しずつ形の違うマウスピースを順番に交換して歯を動かします。1枚あたりで動かせる量には限りがあるため、動かす距離が長いほど必要な枚数が増えます。
枚数はそのまま製作コストと治療期間に反映されます。数枚で終わる軽度の症例と、数十枚を要する症例とで金額が大きく違うのは、この構造によるものです。プランが「マウスピース〇枚まで」という形で区切られていることがあるのも、同じ理由です。
部分矯正と全体矯正で値段が変わる
前歯を中心に動かす場合
奥歯の噛み合わせが安定していて、前歯の並びだけを整えたい場合は、部分矯正が選べることがあります。動かす本数が少なく、枚数も抑えられるため、費用は全体矯正より低くなります。
ただし、どんな歯並びでも部分矯正で対応できるわけではありません。前歯だけの部分矯正で対応できる条件は、別の記事で整理しています。
奥歯を含めて動かす場合
噛み合わせにずれがある場合や、歯を並べるスペースが不足している場合は、奥歯を含む全体矯正が必要になります。治療期間も長くなり、通院や管理の手間も増えます。
自分がどちらに当たるかは、見た目の印象だけでは判断できません。レントゲンや口腔内スキャンによる検査を経て決まるため、検査前の金額はあくまで目安と考えておきましょう。
※本記事で扱う歯列矯正の費用は自由診療(マウスピース型矯正装置による歯列矯正)であり、公的医療保険の対象外です。参考として当院の費用は Lite 150,000円(税込)(上下前歯12本・マウスピース各7枚以内が対象。安心保証制度とワイヤー補償は付帯しません)/ Basic 330,000円(税込)(上下前歯12本が対象)/ Pro 660,000円(税込)(上下前歯24本が対象)/ コンプリヘンシブ 880,000円(税込)(全歯が対象)です。安心保証制度とワイヤー補償が付帯するのは Basic・Pro のみです。治療期間の目安は Lite 約2ヶ月/ Basic 約3ヶ月/ Pro 約6ヶ月で、いずれも歯を動かす矯正期間を指し、後戻りを防ぐ保定期間は含みません。通院回数は最低1回で、治療内容・個人の状態により異なります。歯の移動に伴い、歯の痛み・歯根吸収・歯ぐきの退縮・後戻りなどのリスクが生じる場合があります。重度の歯周病や顎関節症などがある方は治療をお受けいただけない場合があります。
札幌のマウスピース矯正の値段
公表されている料金には幅がある
2026年7月時点で、札幌市内4院の公式サイトで公表されているマウスピース矯正の料金を確認しました。前歯を中心とした軽度の症例では11万円台から49万円台、奥歯を含む全顎の症例では59万円台という例があります(いずれも税込)。
同じ札幌市内でも、これだけの開きがあります。ただしこれは高い安いの話ではありません。この開きの多くは、対象範囲や含まれるサービスの違いによるものです。金額だけを横に並べても比較にはなりません。
検査料が別途のクリニックもある
確認した中には、精密検査料と分析診断料が無料のクリニックもあれば、検査診断料として3万円台が別途必要なクリニックもありました。金額が近いクリニック同士なら、この数万円で並び順が入れ替わることもあります。
つまり、比べるべきは表示価格ではなく、治療が終わるまでに支払う合計額です。
※上記の金額は各クリニックが公式サイトで公表している税込料金を2026年7月に確認したものです。いずれも自由診療(マウスピース型矯正装置による歯列矯正)であり、公的医療保険の対象外です。料金は改定される場合があるため、最新の情報は各クリニックにご確認ください。歯の移動に伴い、歯の痛み・歯根吸収・歯ぐきの退縮・後戻りなどのリスクが生じる場合があります。重度の歯周病や顎関節症などがある方は治療をお受けいただけない場合があります。
表示価格に含まれないことがある費用
治療費として案内される金額に、次の項目が含まれるかどうかはクリニックによって違います。ここが総額のずれを生む主な原因です。
精密検査料・診断料
レントゲン撮影、口腔内スキャン、写真撮影などにかかる費用です。無料としているところもあれば、数万円かかるところもあります。治療を始めなくても検査だけで費用が発生する場合があるため、事前に確認しておきたい項目です。
調整料
通院のたびに発生する費用です。通院ごとに費用がかかる方式であれば、期間が延びるほど総額は増えていきます。なお通院回数は治療内容・個人の状態により異なります。
追加のマウスピース
歯の動きが計画どおりに進まなかった場合、マウスピースを作り直したり追加したりすることがあります。リファインメントと呼ばれる再製作です。これが総額に含まれるのか、別途費用になるのかは契約内容によって異なります。
歯の動き方には個人差があるため、追加が発生する可能性は誰にでもあります。 起きたときの費用を先に確認しておくと、想定外の出費になりにくくなります。
保定装置(リテーナー)
歯を動かし終えたあと、その位置を安定させるために使う装置です。矯正はここまでを含めて一続きの治療にあたります。リテーナーの費用と、破損や紛失時の再製作費用まで確認しておきましょう。
料金体系には2つのタイプがある
総額が最初に決まるタイプ
治療開始時に総額が確定し、その後の調整料や装置代が含まれる方式です。予算が立てやすく、期間が延びても支払額が変わらないのが特徴です。何が含まれ、何が対象外なのかを最初に確認しておけば、見通しが崩れにくくなります。
処置ごとに費用が積み上がるタイプ
基本料金に加えて、通院ごとの調整料や装置の追加費用が都度かかる方式です。治療が予定どおり進めば費用を抑えられることもありますが、期間が延びた場合は総額が読みにくくなります。
どちらが良いという話ではありません。自分がどちらのタイプの見積もりを受け取っているのかを把握しておくことが、比較の前提になります。
値段を抑える方法
対象範囲を絞れないか検査で確認する
費用を下げる効果が大きいのは、動かす範囲を絞れるかどうかです。気になる部分が前歯に限られているなら、部分矯正が選べる可能性があります。適応するかどうかは奥歯の状態で決まります。
分割払いを使う
デンタルローンやクレジットカードの分割払いに対応しているクリニックであれば、まとまった費用を月々の支払いに分けられます。金利や回数はローン会社によって異なるため、月々の支払額と総支払額の両方を確認してください。
モニター制度を検討する
症例写真の提供などを条件に割引を受けられる制度もあります。写真や氏名の公開範囲など確認すべき条件があるため、矯正モニターとは?割引の目安と、応募前に確認したい条件を解説もあわせてご覧ください。
※参考として当院のマウスピース型矯正装置による歯列矯正(自由診療・公的医療保険の対象外)の費用は Lite 150,000円(税込)(上下前歯12本・マウスピース各7枚以内が対象。安心保証制度とワイヤー補償は付帯しません)〜 コンプリヘンシブ 880,000円(税込)(全歯が対象)です。治療期間の目安は Lite 約2ヶ月/ Basic 約3ヶ月/ Pro 約6ヶ月で、いずれも歯を動かす矯正期間を指し、後戻りを防ぐ保定期間は含みません。通院回数は最低1回で、治療内容・個人の状態により異なります。歯の移動に伴い、歯の痛み・歯根吸収・歯ぐきの退縮・後戻りなどのリスクが生じる場合があります。重度の歯周病や顎関節症などがある方は治療をお受けいただけない場合があります。
値段を比べるときの確認ポイント
複数のクリニックを比べるときは、表示価格をそのまま並べるのではなく、同じ条件に揃えてから比べます。揃えるべき項目を、カウンセリングでそのまま使える質問文にしました。
Q. 治療が終わって保定装置を受け取るまでに、支払う合計はいくらになりますか。
Q. 精密検査料・調整料・保定装置の費用は、その金額に含まれますか。
Q. 治療が計画より延びた場合や、マウスピースを追加で作る場合の費用はどうなりますか。
この3つを聞けば、料金体系のタイプと総額がほぼ把握できます。答えは口頭ではなく、書面で受け取っておくと後から比較しやすくなります。
マウスピース矯正の値段に関するよくある質問
Q. 保険は使えますか?
見た目の改善を目的とした歯列矯正は自由診療にあたり、公的医療保険の対象外です。費用は全額自己負担となります。顎の変形など一部の疾患に伴う矯正では保険が適用される場合もありますが、一般的な歯並びの改善は自費と考えておきましょう。
Q. 「〇万円〜」という表示はどう見ればいいですか?
下限の金額であり、もっとも軽度の症例に適用される価格を示していることが多い表示です。下限だけで判断せず、その価格が適用される対象範囲の条件とあわせて確認してください。
Q. 医療費控除の対象になりますか?
噛み合わせの改善など、機能面の必要性が認められる矯正は医療費控除の対象となる場合があります。美容目的のみと判断される場合は対象外です。デンタルローンを使った場合も、契約した年に治療費の全額が対象になるとされています(金利手数料を除く)。判断は個別の状況によるため、領収書を保管したうえで税務署にご確認ください。
Q. 相談だけでも費用は分かりますか?
カウンセリングでは、検査結果をもとに対象範囲と総額の見積もりを提示してもらえます。金額を確認したうえで持ち帰り、他院と比べてから決めて構いません。
まとめ
マウスピース矯正の値段は、動かす歯の範囲とマウスピースの枚数で決まります。金額に大きな幅が生まれるのは、この2つが症例ごとに違うためです。札幌市内でも、対象範囲によって大きな開きがありました。
比べるときは表示価格ではなく、保定装置を受け取るまでの合計額に揃えてください。検査料や追加マウスピースの扱いが違えば、順位が入れ替わることもあります。自分の症例がどの範囲に当たるかは検査で決まるため、まずは無料カウンセリングで見積もりを受け取るところから始めてみてください。